猫太郎と最近よく行くカフェがあるのだが、そこの店員さんについに「いつもありがとうございます」と言われてしまった。
普通なら嬉しいのかもしれないが、私は全く嬉しくなかった。なぜなら、我々はいつもそこで、少しばかり奇妙な話をしているからだ。
そのカフェには休憩がてらコーヒーを飲みに行っているのだが、寝ても覚めてもお茶をしていても、ついついバンドのことばかり考えてしまう我々は、つい先日も席に着くや否や「腕と足はやっぱりバラバラにした方がいい」「宇宙のゲートを開くには途方もないエネルギーが必要で……」などと白熱した議論を交わしていた。
ただバンドの制作について話しているだけなのだが、側から見れば、一歩間違えばイッちゃってる人、半歩間違えば厨二病である。
しかもその日は、猫太郎はどこで購入したのか、まるでゴミ捨て場のネットのような、艶やかな青色の奇怪な服を着ていた。服というより、もはや「網」と言った方が近い。「それ、どこで買ったん?」と尋ねると、猫太郎は得意げに「セカストよ」と言った後、「あ、でも行ってももう同じのは売ってないよ?」と気の毒そうな顔をした。念の為言っておくが、私は別にそれを購入するつもりは1mmもない。ただ、どこにそんな服が売っているのか気になっただけである。
私はおなじみのライダースを着ていたのだが、店員さんたちの目に、いつも我々はどのように映っているのか、ちょっとだけ心配だ。
さて、今日はさっくりと天気の話でもして店を出よう、と意気込んで猫をかぶったのだが、ついうっかり作成中のストエレの名刺について話を始めてしまい、「私たちの世界なら青色もいいけど、彼らの世界は黄色だろう」「いや、おれの世界はレインボーだ」などと言い合ったので、「なんだかよくわからないけど、危ない奴ら」くらいには思われているかもしれない。ちなみに、毎回それなりに小声でコソコソと話しているのだが、今思えば逆にそれが怪しさを増している気がしないでもない。
癒しの時間と空間を提供してくれる店員さんたちに、不安を与えていないことを切に願う。



