現在、ストエレは「第一話の物語」と「ミュージックビデオ」のふたつの動画を制作中である。
途中、人形を複製したりギターを複製したりといったイレギュラーな出来事もあったので、スケジュールは例の如く、やや押している。
期限を守れる人間になりたい。有言実行できる人間になりたい。
こうした思いを抱いているにもかかわらず、一向に成長しないのはなぜだろうか。
猫太郎と出会ってからかれこれ15年以上経つが、思えばやつには最初から遅刻癖があった。
そういえば、私が猫太郎を「猫」と呼び始めたのも、やつがバンド練習に遅刻をして来たのがきっかけだ。
当時私と猫太郎は、お互いに組んでいたバンドを解散し、「一緒に最高のバンドをやろう」と意気投合したばかりであった。そして意気揚々とスタジオを予約し、音合わせをすることとなったのだ。
……しかし、待てど暮らせど猫太郎がやってこない。予約した時間から、もう30分が経過していた。
遊びに行く時に遅刻をするのなら、別にいい。ただ、バンド練習に遅刻をしてくるのは許せない。
「やる気あんのか?」「ナメてんのか?」「それで本気でプロ目指してんのか?」
血気盛んだった当時の私の頭は怒りで満ち溢れ、今にも爆発しそうであった。
「このままじゃ、血管が切れる……美容に悪い……」
そんなことを思った私は、少しでも怒りをおさめるために、スマホに登録してある猫太郎の連絡帳のアイコンを、可愛らしい子猫の画像にしたのだ。
「遅刻します」「すみません、今起きました」「今向かってます」「渋滞であと15分くらいかかるかもしれません」
……こうした言葉も、可愛らしい子猫の画像と共に見れば、そこまでの怒りは湧いてこないものだ。
そしてこの日から、私は猫太郎のことを「猫」と呼ぶようになった。そして猫太郎が住んでいる地域のことは、「猫の里」と呼んでいる。ややヤンキーが多い地域であるが、なぜか猫太郎は私、極夢が暮らす地域を「そっちのは方は不良が多い」と決め付けている。
ちなみに、私はそのころから「今年こそ痩せる」と世迷言を繰り返している。そろそろ、立派な人間になりたいものだ。

画像は絵コンテの一部。


