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あの頃のオーム

2026/5/21
in ストエレの奇妙な制作日記

遠い昔、学生時代。私極夢は物理を学んでいた。

何かの過ちで理系コースに進んでしまい、うっかり足が滑って物理の授業を選んでしまったのだ。

自分でもわかっていたが、私は物理が大の苦手だ。

年齢を重ねた今なら、興味深く授業を聞けるかもしれないが、当時の極夢にとって物理の授業は、謎の単語と式が飛び交う、不可解な時間であった。

「オームって何?テイコウとは?誰が何にテイコウしているの?」

黒板をぼんやりと眺めながら、そんなことを考えていた気がする。

そしてそんな私に、ある日教師は、「君は僕の授業に真面目に出ているけれど、全く話を聞かずにいつもどこか遠くを眺めているね」というようなことを言った。

当時の私は授業の内容があまりにも分からないので、読みかけの小説の続きだとか、書きかけの曲だとか、その日の放課後のバンド活動についてだとか、そんなこtとを考えていた気がする。

自分で選択した授業ではあったが、「こんなことを学んでも、私の人生には何も関係ないだろうな」なんてことも思っていた。

もしかしたら、アンプやギターが壊れた時には関係するのかもしれないが、その時は素直に楽器屋に持っていけばいい。

……そう思っていたのだが、ウン十年後の現在。

私は机の前で難しい顔をしながら、ある回線を直流で繋ぐか並列で繋ぐか、電源が5Vの場合はどのくらいのテイコウが必要になるか、それはAmazonで買うべきか楽天で買うべきか、はたまた電気屋に直接行くべきかそんなことを考えている。

まさに、物理に取り組んでいるのである。

バンドの動画で使用する「街灯」を作るのに市販の電球では足りず、どうしても自作する必要が出てきたからだ。

まさか、人生で「Ω」が必要になる日が来るとは、夢にも思っていなかった。そしていざ自分の人生に物理が必要となると、その瞬間に「Ω」も「抵抗」も、すんなりと自分の中に入ってくるのだから不思議だ。

「人生には無駄なことはひとつもない」と言う言葉は、どうやら本当らしい。


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