ギタリストはみんな通る道だと思うが、ギターを始めたばかりのころというのは、指先に水ぶくれができるものである。
私も楽器を始めた当初は、よく水ぶくれができていた。
それでもギターが弾きたくて、「どうしたらいいんだろう?」と、同じく楽器を始めたばかりの友達と話し合ったところ、「ボンドでコーティングしたら痛くならないのでは?」という話になり、休み時間に実践して他の友達に奇異の目を向けられたのは懐かしい思い出である。
ちなみに、ボンドは3分ほどギターをほど弾いたらボロボロになった。ボンドを完全に乾かすのに10分くらい待ったので、なんとなく損をした気分であるし、何より体に悪そうなのでやめた。
しかし、痛みにめげずに毎日練習を続けていくと、少しずつ指の皮が硬くなっていき、だんだんと水ぶくれはできなくなる。そして不思議と、最初は硬くガビガビになっていた指先も、年月を追うごとに自然な弾力を取り戻していった。
今の私の左手は、ちょっとやそっとギターを引き倒したくらいでは水ぶくれない、ナチュラルコーティング済みなのである。
ところが最近、私は再び水ぶくれと向き合うことになる。
ストップモーションの制作で「地面」を作る必要があったのだが、その制作のために買った土が、想定していたものよりもやや大きめの粒だったのだ。
理想としては、粉のようにパラパラのものが良かったのだが、購入したものには少し大きめの粒が混ざっている。
そこで、その粒を指先でゴリゴリとすり潰して地面に撒いていたのだが、20分ほどすると、指先に違和感を感じた。
水ぶくれである。
右手の指先は、左手とは違い、皮膚によるナチュラルコーティングがされていないのだ。
もしもギターやベースを指弾きしていたのなら、右手も今頃はコーティング済みだったかもしれないが、私はどちらもピック弾きなため、右手の指先は「育っていない」のである。
何か道具を使って粒を潰そうとも考えたが、どうにもうまくいかない。購入した土の中には少量の石粒も混ざっていたため、土を撒きながらそれを選り分ける作業もしていたのだが、そのためには指でやるのが効率が良いのだ。
一瞬、「水ぶくれの上からボンドでも塗って固めるか?」と考えたが、あの方法は効率が悪いことは、すでに実証済みである。
そこで、左手で作業を始めたのだが、ナチュラルコーティング済みの左手はやはり強い。
ふと思いつき、右手の水ぶくれしていない指も使い、両手で作業を開始したところ、さらに効率がよくなったが、その指にもほどなくして水ぶくれができたため断念した。
水ぶくれは、変な形で潰してしまうと面倒なのである。
そんなこんなで、ひさかたぶりの水ぶくれとの再会を懐かしみつつ、無事に地面は完成した。
こちらも、ベラとプッピスの物語、第一話の舞台である。



